ホロコースト論争―ホロコースト否定の検証

ホロコースト否定論(否認論)を徹底的に検証するブログ

ホロコースト論争ブログが『ホロコースト論争』動画を論破するシリーズ(8)

「ホロコースト論争」動画を論破する(1)

「ホロコースト論争」動画を論破する(2)

「ホロコースト論争」動画を論破する(3)-1

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ホロコースト論争」動画を論破する(8)/おわりに

 

ホロコースト論争」シリーズの動画はまだまだ続いていますが、前回のラストでも述べた通り、当ブログの論破シリーズは今回で一応終了です。「動画後半は論破できないからだろw」との声も聞こえてきそうなところですが、各動画の論破項目数を数えたら前回までで92項目にも上っており、毎日の作業時間が2〜3時間くらいとは言え、1記事あたり1週間くらいかかることもあるくらい面倒なので、全話の論破は疲れるだけなので勘弁してくれ、と。こんだけ論破してきたらわかるだろ、この動画がとんでもなく杜撰で低レベルなことが、と

でも、過去3年間くらいの自分の実績、つまりHolocaust Controversiesなどの海外記事を大量に翻訳し続けて、学んだ知識は活かせたかなと思います。本格的に正統にホロコーストの勉強をしたわけではないのでかなり邪道ですが、そろそろ修正主義者の言う「正史」を普通に少しずつでも勉強したいなと考えております。3年前に「ホロコーストのことをしっかり学んで否定論を駆逐してやる!」との勢いで大枚叩いて購入した『ホロコースト大事典』を実はほとんど読んでない、とか我ながら呆れてますし(笑)

さて、ラストの今回は8番目の動画ではなく、番外編と題された動画を選択しました。8番目の動画はヴァンゼー議定書の捏造疑惑を扱った動画なのですが、論破するとしてもほとんど私が過去に翻訳した以下の記事を参照するだけなので、あんまり意味ないかなと思ってやめました。

note.com

じゃぁ、8番目を止めるとしてどれにしようかなと適当に選んだのが、最初は以下の動画でした。

youtu.be

過去に簡単に紹介している、「No Holes, No Holocaust!」の話です。

holocaust-denial.hateblo.jp

これにプラスα的な内容もあったので、これにしようかと思って動画の時間数を見たら40分超え……、あっさり諦めました(笑)

それで、今回は9分ちょっとしかない以下の動画を選んだわけです。この話のもっと詳しい版もあるそうですが、Youtubeにはなく扱いにくいニコニコ動画版なので、確認もせず無視してることをお断りしておきます。

「戦後最大のタブー!「ホロコースト論争」完全解説 番外編第3章 「ガス室」の化学分析について。」と題された動画を論破する。

youtu.be

02:36/マイダネクのガス室

違います。マイダネクのガス室(内部)の写真は以下で見ることができます。探してみてください、一致する箇所がありますか?

note.com

一致する画像はないわけです。実は加藤が用いている写真は、動画で続いて外観が紹介されている同じシュトゥットホーフ収容所のガス室です。

 


この写真はこちらにあるものですが、このガス室内の写真は加藤が用いているものと同じ写真であり、当該サイトにはこの写真のすぐ下に「シュトゥットホーフ・ガス室内のツィクロンBガスによるシミ 写真提供:ゲルマー・ルドルフ」とまで書いてあります。こちらにルドルフ・レポートがありますので、同じ写真があるのを確認して下さい。何度も言いますけど、加藤は自分が論拠にしているはずの修正主義者の著作でさえもちゃんと読まないのです。呆れているのは私だけですか?

なお、シュトゥットホーフ収容所のガス室についての解説は以下を参考にして下さい。

www.deathcamps.org

加藤は、この写真が出てくるまでに、ロイヒターレポートが間違いだらけであることを述べていますが、お前だってロイヒター以上に間違えまくってんじゃないか、と。他人のこと言えた義理かと。

 

03:00/ルドルフが採取した「バイエルン」の検出値について。

カラー写真で見れば、ある共通点があることに誰もが気がつくことでしょう。
全て壁に青いしみが浮き出ているのです。
これは、鉄シアン化合物と呼ばれ、シアンガスと壁の中にある鉄分が反応を起こして生成される物質の色です。
これは、鉄青、プロシアンブルーと呼ばれ、もっとも一般的な青色染料として利用されてきたものです。
プロシアンブルーは極めて安定した物質であり、壁がある限り存在し続けます。
害虫駆除室はいずれも連日のようにシアンガスにさらされましたから、写真のようにびっしりとプロシアンブルーが生成されたのです。
ロイヒターとルドルフはいずれも、収容所から取った幾つものサンプルから、どれだけの鉄シアン化合物が検出されるかを調べました。 それが、次の表です。

図表
試訳: ホロコースト講義 ゲルマール・ルドルフ 歴史的修正主義研究会試訳 3.4.6 化学的分析より引用

一見して判るとおり、害虫駆除室から検出される量は、桁外れに大きいのです。
収容所の各施設は、いずれも何回かはチクロンBによる害虫駆除処理を受けていますので、ごく微量の鉄シアン化合物が生成される可能性はあります。
しかし、この表の中で10mg以下の微量な数値は測定誤差の範囲内であり、何かを判定する基準にはならないようです。シアンガスに一切さらされなかったバイエルンの民家から取ったサンプルから9.6mgが検出されたことからもそれが判ります。

この、最後の行に書いてあるゲルマー・ルドルフが試料採取し、分析したらしい「バイエルンの民家(細かい話ですが「民家」ではありますが、ルドルフは「農家」と表現しています)」の値は個人的には懐疑的です。大事なことは、ルドルフ以外の測定値がないので、検証できないことです。ルドルフは、低濃度の測定値を「バックグラウンドレベルのようなもの」と結論づけようとして、無関係の場所の測定値を偽造した疑いがあります。もし無関係の場所であるバイエルンの農家からの値がゼロだとしたら、微量を検出しているガス室跡地でシアン化水素ガスが使われたことを否定出来なくなります。したがって、農家の値が陽性であることはルドルフの結論にとって都合が良すぎるのです。

少々事情を解説すると、まずロイヒター・レポートのシアン化物測定結果がありました。それによると、確かに害虫駆除室のシアン化物はガス室とされる場所の測定値と比べ桁数で3桁も上回っていました。修正主義者たちはその結果から、明白にシアン化水素ガスが使われたとわかっている害虫駆除室よりもガス室とされる場所の値の方がはるかに低いのだから、ガス室とされる場所はガス室であったはずはない、と結論しました。

しかし、ロイヒターレポートに記載されたガス室跡の測定値には、ゼロではない測定値がいくつもあり、シアン化水素ガスが使われなかったことは示されていない、と反論されてしまったのです。むしろ、ロイヒターの結果はガス室跡でシアン化水素ガスが使われていたことを示している、と。

そこで、ロイヒターはそれらの低い数字は、ガス室跡(火葬場)ではチクロンBを用いた害虫駆除作業が行われたから、その時の微量に残っていたシアン成分を検出したに過ぎない、と再反論しました。

ところが、微量のシアン成分が検出されたビルケナウの火葬場は、アウシュヴィッツ収容所でチフスが蔓延して害虫駆除作業が行われたとはっきりわかっている1942年8月頃には、まだ建設が少し始まった程度だったので、害虫駆除作業など行われているわけがなかったのです。したがってロイヒターの説明は嘘です。

そこで、修正主義者のルドルフは、ガス室跡の低い測定値は、測定値限界未満の値でしかなく、無視し得るものであることを証明しようとして、シアン化水素ガスなど使われた形跡もないバイエルンのどこかの農家の測定値を出してきたのです。

つまり、バイエルンの農家の測定値をわざわざルドルフが出してきた目的は、ガス室跡の微量の測定値を説明する目的以外ではないのです。だとするならば、そのルドルフの調査結果自体が検証されなければなりません。しかし、そのように検証される別の測定結果はないのです。

しかしそうすると、後述するクラクフ法医学研究所の住居棟の値が全てゼロであるのも、クラクフにとって都合が良すぎるではないか、と思われるかもしれませんが、ルドルフの結果をよく見て下さい、「別の会社」が分析を行なったとされる囚人バラックの8番目のサンプルはゼロとなっており、クラクフの値と一致しています。つまり、クラクフの値は皮肉にもルドルフの値が検証しているのです。

故に、検証データのないバイエルンの農家の値を以て「10mg以下の微量な数値は測定誤差の範囲内であり、何かを判定する基準にはならない」と言うことは出来ません。しかし仮にそうだとしても、それはロイヒターやルドルフの解析感度がそうなっているだけであって、クラクフ法医学研究所の解析感度はルドルフらの300倍あるので関係がないのです。例えて言うならば、ロイヒターやルドルフの分析は虫眼鏡で行なっているようなものであるが、クラクフ顕微鏡を使っている、ようなものだからです。

 

05:48/クラクフ報告について

科学的トリックによってロイヒター/ルドルフ報告を否定しようとした典型例は、1994年に行われたポーランドクラクフ法医学研究所報告です。
この報告では、なぜか、年月が経っても安定して検出できるプロシアンブルーを対象から除外したのです。替わりに不安定で時間が経ってしまったら殆ど検出不可能になってしまう物質を対象としたのです。
これでは、殺人ガス室であっても害虫駆除室であっても、数値は殆どゼロになるのは当 然です。

この表の、一番左の列の数字がそれです。
ところが、この研究所はそれよりも前の1990年にも別の調査を行っていたとされて
います。
その結果、害虫駆除室からは、いわゆる殺人ガス室とされる部屋よりも20倍も高いシアン化カリウムが検出されていたというのです。
その結果が左から二列目の数字です。

これは、研究所の内部からリークされたも のだとされています。
クラクフ研究所は、自分たちにとって都合の悪い結果を覆い隠そうとしたのではないでしょうか。
参考資料 クラクフ法医学研究所報告 (試訳と評注) 歴史的修正主義研究会試訳

クラクフ報告は以下で私の翻訳による日本語版が読めます。

note.com

まず、加藤に化学の素養がないことが、「シアン化カリウム」の表記でわかります。クラクフが報告書に記載しているのは「シアンイオン」です。シアン化水素ガスの化学記号はHCNであり、この化学物質を特徴づけているのはシアンイオンCN^-であることがわかります。シアン化水素ガスが水分に溶け込むことで加水分解が起こり、水素イオンH^+とシアンイオンCN^-に遊離すると、このCN^-はイオン結合により、他の金属陽イオン(カルシウム、カリウム、ナトリウム、etc)と結合する場合があり、そのうちの一つがシアン化カリウムKCNであるに過ぎません。

また、科学的素養に多少なりとも乏しい人たちに多いのが、前述した「虫眼鏡」と「顕微鏡」の区別が分かってないことです。

それを解説する前に少し説明します。クラクフが本調査である1994年よりも前の1990年に行なった調査を公表していないのは、1990年の時はクラクフ法医学研究所は単にアウシュヴィッツ博物館から調査の依頼を受けて、単純にそのままサンプル調査しただけで、ロイヒター調査を知らなかったのです。ですから、その時のクラクフの調査では、サンプル数はロイヒターよりも少なく、感度もロイヒターよりも悪い分析結果しか得ていませんでした。そこで、クラクフは1990年の第一回目調査をスクリーニング調査(予備調査)と位置付け、ロイヒターレポートを含めた先行研究を踏まえて、調査内容の検討を行い、その上で本調査として1994年の調査を行なったのです。

そこで、分析を行うにあたって大きな方法の違いとして、分析結果からはプルシアンブルーを省くこととなったことです。その理由をクラクフ報告では以下のように記述しています。

化学分析の引き受けには、慎重な検討が必要であった。修正主義者たちは、強烈な暗青色で、並外れた堅牢性を特徴とするプルシアンブルーにほぼ独占的に注目した。この染料は、特にビルケナウ収容所周辺の旧浴場・害虫駆除所の壁の外側のレンガにシミの形で発生している。あの場所でプルシアンブルーが生成されるに至った化学反応や物理化学的過程を想像するのは困難である。レンガは他の建材と違って、シアン化水素の吸収が非常に弱く、時には全く吸収しないこともある。また、プルシアンブルーの前駆体である(Fe(CN)_6)^{-4}イオンの生成には、2価の鉄イオンが不可欠であるが、この中に含まれる鉄は第3酸化状態になっている。また、このイオンは太陽光に敏感である。

J・ベイラー(1)は、共著作品「Amoklauf gegen die Wirklichkeit(現実を無視した暴挙)」の中で、レンガにプルシアンブルーが形成されることは単にあり得ないと書いている。しかし、彼は害虫駆除室の壁にこの色素が塗料として塗られていた可能性を考慮に入れている。なお、この青色は、すべての害虫駆除室の壁面に現れているわけではないことを付け加えておく。

シュトゥットホーフのガス室の写真に見られるような、ある意味自然に生成しているようなプルシアンブルーの形成機序がよくわからないのです。使われたのはチクロンBから発生するシアン化水素ガスであり、気体ですから、室内であれば割と均等に分布して拡散するはずなのに、壁面を見ると青いシミのあるところやないところが見受けられます。これはシアン化水素ガスが存在するからと言って必ずプルシアンブルーが生成するわけではないことを端的に示しているのです。

ベイラーは形成機序がよくわからないので、塗料かもしれないと推定したようですが、そのように形成機序がよくわからず、発生したりしなかったりするような不安定な生成をするプルシアンブルーを分析対象に含めるのは不適切と判断したので、クラクフはプルシアンブルーを分析対象から除外したのです。これを、クラクフ報告への序文を書いた反修正主義者である化学専門家のグリーン氏は「プルシアンブルーの形成は複雑であるため、総シアン化物の検出はシアン化物への暴露の信頼できるマーカーにはならない」と表現しています。

しかし、プルシアンブルーを除外してしまうと、分析値が極端に低くなってしまうのではないか、場合によっては検出されないこともあるのではないか、とは当然危惧されるところです。そこで、クラクフ法医学研究所では分析感度を高くしたのです。グリーン氏の解説によれば、ロイヒターらの300倍だと書いてあります。つまりこれが私の言っている「虫眼鏡」と「顕微鏡」の違いなのです。

したがって、加藤の示した表では単位がmgで示されていますが、クラクフ報告を見ればわかるように、μgで示されているのです。

以上でもまだわかりにくいかと思ったので、どうしてプルシアンブルーが省かれなければならないのかをわかりやすく説明しようと考え、私自身で以下の簡易な模式グラフを作成しています。

プルシアンブルーは風化に強く、長期間にわたって濃度はほとんど変化しないが、それ以外のシアン成分は風化に弱いため、長期間が経つとプルシアンブルーに比べて圧倒的に濃度が低くなってしまうことを示したものです。これは考え方を示したグラフであって、何か実測値に基づいているわけではないことは述べておきます。

いずれにしても、条件の違いを考慮すれば、害虫駆除室にしかないプルシアンブルーを示す「青色線」ではなく、害虫駆除室にもガス室にも共通して存在している「赤色線」の方を分析対象としなければならないことは明らかです。

で、感度を300倍にしていることで、クラクフはμgのオーダーでシアン残留物の測定結果をちゃんと得ているのです。

 

08:20/「「中間の値」となるはず」?

仮に、害虫駆除室よりは、ガス処刑室のほうがプロシアンブルーが生成されにくかっ
たという主張が正しいとしましょう。 その場合は、ガス処刑室の数値は、害虫駆除室よりは少ないが、シアンガスと無関係の場所よりは大きい、「中間の値」となるはずです。
ただの農家と同じように、殆どゼロに等しい理由にはなりません。

加藤は、クラクフがプルシアンブルーを分析から除外して、非プルシアンブルーであるシアン成分のみを分析対象とした意味を理解していませんし、クラクフがロイヒター・ルドルフの測定結果よりも分析感度を高く設定していることも分かっていません。これにより、ガス室の値は「中間の値」どころか、最大値を比較すると害虫駆除室で840μg/kg、ガス室跡で640μg/kgですから、ガス室跡の値は害虫駆除室の76%と、それほど遜色のない値を得ることができているのです。加藤は分析値の見方すら理解していません。

これを害虫駆除室の測定結果と含めて対照結果とすれば、ガス室跡のシアン残留濃度は、有意にシアン化水素ガスが使われていたとみなし得るものになります。

より詳しく、化学的な議論の内容を知りたい方は、以下の資料を参考にすることをお勧めします。

note.com

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おわりに。

以上で、とりあえずは『ホロコースト論争』の動画シリーズへの論破シリーズは終了です。2020年ごろに、私がこの動画シリーズを初めて見た頃は、動画主の加藤は単に「嘘をついている」だけだと思っていたりしたのですが、実際にはそうではなく、加藤は真面目にホロコーストの定説(正史)を正しくないと思っており、否定論の方こそ正しいと思い込んでいるのでした。

私は、ネット上で流布されるホロコースト否定論と3年ほど付き合ってきたわけですけど、それらを主張する加藤を含めたネット否定派さんは、当初私が考えていた以上にはるかに多いことを知りました。ホロコーストそれ自体は否定しないが、600万人説やガス室を疑わしいと思っている人を含めると、かなり多いと言っていいように思います。これは、最近の報道で知りましたが、ホロコースト教育が行われているであろうオランダでさえも実態がこうであることを知って、仕方ない面もあるのかなぁと思うようになりました。

www.nikkei.com

歴史教育の難しさを表しているのだと思います。おそらく、ドイツでも似たようなものなのでしょう。

でも、加藤のように積極的にホロコースト否定論を事細かに主張するような人たちは、間違ったことばかり言っているのも事実です。それは、この記事の最初の方で示した、シュトゥットホーフ収容所のガス室の写真をマイダネクのガス室の写真だと間違えるような杜撰なレベルと言っていいような間違いです。加藤とは別に、最近あるところでやり取りした人は、「600万人は盛っているに違いない」と主張するので、色々問い詰めていたら「ソ連の犠牲者とされるユダヤ人は、ソ連には強制収容所はなかったので、戦争の犠牲者がカウントされている」なる馬鹿げた主張をしました。この主張は何重にも間違っています。ソ連にも強制収容所はあったが、ソ連での犠牲者はアインザッツグルッペンに代表される現地での銃殺やガス車による殺害なのであって、戦争の犠牲者はほとんど含まれないことがわかっているからです。「歴史をもっと学ぶべき」のように言うと、「歴史学者は信用できない」のように言うので、お手上げです。

確かに、100%間違いのない歴史認識も、それはそれであり得ないのもまた事実です。私自身、自分の主張を読み返すと間違いが見つからないことの方が珍しいほどです。著名なホロコースト研究者の著述の細かい部分にさえも間違いを素人の私でさえも見出すこともできます。歴史を語る行為は、ある程度の間違いを含むのは必然であるとも言えるのかもしれません。

とは言え、たとえそうであっても、原則的な意味で、間違いがあってよく、正しくなくてもいい、と考える人はいないと思います。医者が誤診をすることがあっても、誤診ばかりしていて良い筈はない、ようなものです。

加藤は間違いだらけのホロコースト否定論を主張しました。しかもそれは、欧米の否定論にさらにオリジナルの間違いを加えるほどの酷さです。そのような間違いだらけの主張を信じて良いはずがありません。私はそれを強く主張したいと思います。